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住宅が強い地震に耐えられるかどうかを確認する際の目安が「耐震基準」です。1981年以降に建築された新耐震基準の建物は安全とされていますが、新耐震基準の中にも耐震基準を満たしていない建物が含まれるため、注意しなければなりません。
この記事では、耐震基準を満たしていない建物とはどのような建物なのかを説明し、耐震基準を満たしていない建物を放置するデメリットをご紹介します。有効な改善方法も解説するので、ご自宅の耐震性が気になる方は最後までお読みください。
耐震基準を満たしていない建物とは
日本では、全国各地で巨大な地震が発生しています。耐震性を満たしていない建物は、強い地震に耐えきれず、倒壊・全壊する恐れがあるため要注意です。耐震基準を満たしていない建物とは、以下のような建物を指しています。
<耐震基準を満たしていない建物の例>
- 1981年以前に建築された旧耐震基準の建物
- 新耐震基準で建築されたものの現行の耐震基準に不適合な建物
まずは、どのような建物が危険なのかを見ていきましょう。
1981年以前に建築された旧耐震基準の建物
1981年以前に完成した建物は「旧耐震基準」で造られています。旧耐震基準の建物は、震度7の地震に耐えられるように設計されていません。
【旧耐震基準と新耐震基準の違い】
基準 | 建築時の目標 |
---|---|
旧耐震基準 | 震度5強程度の揺れが発生した際の損傷が少ない |
新耐震基準 | 震度6強以上の地震が発生しても倒壊を免れられる |
このため、新しい耐震基準を満たしていない建物は、2011年に発生した東日本大震災クラスの地震に耐えられない可能性が高いです。
新耐震基準で建築されたものの現行の耐震基準に不適合な建物
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の発表によると、築20年以上の新耐震基準住宅のうち、約9割が現行の耐震基準に適合できていません。1981年以降に建築された建物だとしても、経年劣化により耐震性が損なわれている可能性もあり、決して油断できない状態です。
耐震基準を満たしていない建物を放置するデメリット
耐震基準を満たしていない建物を放置するデメリットは、地震による倒壊リスクだけではありません。以下のような問題にも注意すべきです。
<耐震基準を満たしていない建物を放置するデメリット>
- 震度6以上の地震で倒壊する恐れがある
- コンクリートや鉄筋が劣化している可能性がある
- 売却する際に買主が見つかりにくい
- マンションの場合は維持費が高額になるリスクがある
順番に詳しく解説します。
震度6以上の地震で倒壊する恐れがある
先述したとおり、旧耐震基準の建物は、震度6以上を想定して設計されていません。30年以内に70%の確率で発生するとされる、首都直下型地震のような巨大地震が発生した場合、建物が倒壊する恐れがあります。家族の命を守るためにも、早急な対策が必要です。
コンクリートや鉄筋が劣化している可能性がある
建物の基礎となるコンクリートや鉄筋が劣化している可能性がある点にも、注意しなければなりません。致命的な腐食が発生している場合、巨大地震が来なくても建物に深刻なダメージが及ぶ恐れがあります。中程度の地震や台風などの災害をきっかけに、倒壊を招く可能性もあるのです。
売却する際に買主が見つかりにくい
将来的に住宅を売却する際、耐震基準を満たしていない建物は、対策済みの建物と比較して買主が見つかりにくい傾向にあります。結果的に売りどきを逃してしまったり、必要以上の値下げに踏み切らざるを得なくなったりする可能性がある点にも、注意しましょう。
マンションの場合は維持費が高額になるリスクがある
マンションの場合は、将来的に修繕積立金が高額になるリスクがあります。マンションの大規模修繕には、数千万円単位の費用がかかることも多く、修繕費は住民が分担して支払わなければなりません。大規模な工事が必要と判断された場合、月々の修繕積立金が値上げされたり、多額な一時金を請求されたりする場合があります。
耐震基準を満たしていない建物の改善方法
耐震基準を満たしていない建物を放置するデメリットは、さまざまです。ただし、以下のように現状を脱却する方法がいくつかあります。
<耐震基準を満たしていない建物の改善方法>
- 耐震診断を受けて建物の状態を確認する
- 耐震補強工事を行って建物の強度を高める
- 建て替え・住み替えを検討する
それぞれの対処法を順番に確認しておきましょう。
耐震診断を受けて建物の状態を確認する
建物の状態を詳しく確認したい場合は、耐震診断を受けましょう。耐震診断では、以下のようなポイントをプロの目線で確認できます。
【耐震診断のチェックポイント】
検査箇所 | 主な検査項目 |
---|---|
屋根 | 雨漏り、通気状況、接合金物の有無など |
室内 | 建物の形状、壁や床の配置、窓など開口部の配置 |
外部 | 屋根や外壁の材質、ひび割れの有無、雨樋の劣化状態など |
床下 | 木造の湿気や腐敗状況、シロアリ・カビの発生状況など |
水回り | 床の腐朽やたわみ、水漏れの有無 |
基礎 | 鉄筋の有無、老朽度、コンクリートの強度 |
周辺 | 塀などの傾き、傾斜地かどうか、周辺家屋に問題がないかなど |
耐震診断の結果、耐震基準を満たしていない建物と判断された場合は、耐震補強工事を行って対策することが一般的です。なお、耐震診断の結果によっては、国や自治体から耐震補強工事に使える補助金が給付される場合もあります。
耐震補強工事を行って建物の強度を高める
もっとも一般的な対処方法は、耐震補強工事を行って建物の強度を高める対策です。耐震補強工事の主な方法をリストアップします。
<耐震補強工事の主な方法>
- 玉石基礎をより強固な鉄筋コンクリート造の布基礎に入れ替える
- 土台をアンカーボルトで締め付ける
- 強い壁をバランスよく増やす
- 柱や土台などの接合部分に金物を取り付ける
- 腐敗した木材などを新しい部品に取り換える
耐震補強工事により、旧耐震基準で造られた住宅だとしても、現在の耐震基準を満たした建物に生まれ変わらせることが可能です。
建て替え・住み替えを検討する
築年数が古い住宅の場合は、建て替えや住み替えを検討するのもよいでしょう。ただし、リフォームの範囲内である耐震補強工事と比較して、建て替え・住み替えには高額な費用がかかります。とくに住み替えの場合、先述したように耐震基準を満たさない建物は買主が見つかりにくいため、そのままの状態ではスムーズな売却が困難です。
まとめ
耐震基準を満たしていない建物とは、1981年以前に建築された旧耐震基準の建物、もしくは現行の耐震基準を満たせない状態まで劣化した建物を指します。そのままの状態で放置すると、震度6以上の地震で倒壊・全壊するリスクが高いため、早急な対策が必要です。
対策に向けた第一歩となる耐震診断は、アーバンリフォームにお任せください。国土交通大臣認可法人 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)組合員として、不正のない厳格な耐震診断を行い、必要に応じた範囲内の耐震補強工事をご提案いたします。