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建物が強い地震に耐えられるかどうかを判断するためには、耐震診断を受けなければなりません。その耐震診断を専門的な知識と技術を活かしながら行うのが「耐震診断士」です。
耐震診断士は国家資格ではありませんが、取得するためには厳しい条件をクリアする必要があります。今回は、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の「耐震技術認定者資格」を取得するための基準をご紹介しながら、耐震診断士や耐震診断とはなにかを詳しく解説します。また、耐震補強工事は耐震診断士が在籍するリフォーム店に依頼するべき理由も解説します。
耐震診断士とは
耐震診断士とは、建物の耐震性を調査・報告する「耐震診断」を行うための資格です。
耐震診断士は国家資格ではありませんが、一定の資格と実務経験を持っていることが必須であり、そのうえで定められた講習や試験を受ける必要があります。都道府県などが独自に耐震診断士を養成・認定している場合もあります。
特に、質の高い耐震補強工事を実現するためには、耐震診断士が在籍するリフォーム店に依頼することをおすすめします。
耐震診断士の資格を取得する条件
耐震診断士の資格を取得するためには条件があり、耐震診断士として認められるための方法はいくつかありますが、ここでは日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の「耐震技術認定者資格」を取得するための基準をご紹介します。
<耐震診断士の資格を取得する条件>
- 耐震技術認定者講習会を受講する(受講資格は、一級・二級・木造建築士のいずれかの資格を持っている人、または7年以上の実務経験を持っていると認められた人)
- 考査試験に合格する
また、資格取得後も3年ごとに更新受講を受けることが義務づけられています。
受講資格1 一級・二級・木造建築士のいずれかの資格を持っている
耐震診断士になるためには講習会を受講しなければなりませんが、そもそも講習会に申し込める人には条件があります。まず、一級建築士か二級建築士、もしくは木造建築士の資格のうち、どれかを保有している人です。耐震診断士になるためには、建築や建物の構造に対して専門的な知識を持っていることが必須だからです。
受講資格2 7年以上の実務経験を持っている
建築士の資格を保有していない場合は、木造建築工事業の実務経験が7年以上なければなりません。ただし、専門学校や大学などで建築を学び卒業された人は、在籍年数が実務経験にカウントされます。耐震補強工事の必要性を判断したり、的確な工事内容を提案したりするためには、実務経験も重要であると考えられています。
講習会を受講して考査試験に合格する
耐震技術認定者講習会を受講したうえで、考査試験に合格しなければ、耐震診断士にはなれません。講習会は対面またはeラーニングで行われ、主なプログラムは次のとおりです。
【耐震技術認定講習会の主なプログラム】
第1部 |
・地震による木造住宅の主な倒壊要因 |
---|---|
第2部 |
・耐震診断の調査方法の流れとポイント解説 ・上部構造評点の算出方法解説 ・N値計算法解説 |
引用:木耐協「耐震技術認定者講習会とは」
講習会の最後には考査試験が行われます。考査試験に合格すると耐震技術認定者として認められますが、現時点で木耐協による認定者は全国で約1,500名のみです。
資格取得後も3年ごとに更新受講を受けること
耐震技術認定者として認められた後も、3年ごとに更新のための講習を受けなければなりません。1981年の旧耐震基準から新耐震基準への移行をはじめとして、耐震基準は大きな震災の経験を踏まえながら改正が繰り返されています。最新の基準に対応できるように、定期的な受講が義務づけられているのです。
そもそも耐震診断とはなにか
ここまで耐震診断士(耐震技術認定者)についてご紹介しましたが、そもそも「耐震診断」とはどのようなものなのでしょうか。簡単に言えば、建物の耐震補強工事が必要かどうかを判断するための診断です。具体的な内容は次のとおりです。
<そもそも耐震診断とはなにか>
- 耐震診断は地震で倒壊するリスクの有無を調べる検査
- 調査項目は家の屋内外のさまざまな範囲に及ぶ
- 耐震診断の総合評価が1.0未満の場合は建物が倒壊する可能性がある
耐震診断は地震で倒壊するリスクの有無を調べる検査
耐震診断士が行う耐震診断とは、簡単に言えば大地震で建物が倒壊するリスクが高いか低いかを調べる検査です。耐震診断を行うと住宅の弱点がわかり、改善すべきポイントを把握できます。これをもとにして、建物の倒壊を防ぐための「耐震補強工事」の計画を立てます。
調査項目は家の屋内外のさまざまな範囲に及ぶ
耐震診断では、屋内外のさまざまな箇所を調査します。主なチェックポイントは次のとおりです。
【耐震診断の主なチェックポイント】
調べる箇所 | チェックするポイント |
---|---|
小屋根(屋根裏) | 雨漏り、通気状況、接合金物の有無、筋かい・火打ち・構造用合板の有無 |
間取り・家の形状 | 建物の形状、壁・床の配置、窓等の開口部の配置 |
水周り | 床の腐朽・たわみ、水漏れ |
周辺 | 塀などの傾き、平坦・傾斜地、周辺家屋の状況 |
建物の外側 | 屋根・外壁の材質、外壁のひび割れ、樋の材質・劣化 |
床下 | 木材の湿気・腐朽、シロアリ・カビ、通気状況、筋かいの有無 |
基礎 | 鉄筋の有無、老朽度・ひび割れ、コンクリート強度 |
引用:木耐協『耐震診断とは』
耐震診断にかかる時間は、目安として約2時間です。
耐震診断の総合評価が1.0未満の場合は建物が倒壊する可能性があります
耐震診断の方法は、一般社団法人日本建築防災協会が定めています(詳しい内容は『2012年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」』に記載)。調査結果をもとに耐震性を数値化(総合評点)し、4段階で評価します。この基準は全国の耐震診断で採用されています。
【耐震診断の総合評価】
総合評価 | 建物の状態 |
---|---|
1.5以上 | 倒壊しない |
1.0以上~1.5未満 | 一応倒壊しない |
0.7以上~1.0未満 | 倒壊する可能性がある |
0.7未満 | 倒壊する可能性が高い |
総合評価が1.0未満の場合、大地震時に倒壊する可能性があります。建物の状態を改善させるための「耐震補強工事」を早急に検討したほうがいいでしょう。
まとめ
耐震診断士は、耐震補強工事の必要性を調べる耐震診断を行うために必須な資格です。木耐協に所属するリフォーム店や工務店が耐震診断を行う場合、耐震診断士に相当する「耐震技術認定者」に認定されなければなりません。耐震技術認定者は全国に1,500人ほどしかおらず、取得が難しい資格です。
東京都町田市を中心にリフォームを展開する有限会社アーバンリフォームには、木耐協が認める耐震技術認定者が在籍しています。高品質な耐震診断と耐震補強工事を行い、ご自宅の安全性を高められますので、耐震性に不安を抱えている方はお気軽に当店までご相談ください。
※参考 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)『耐震診断について』